皆さんこんにちは、本業でしばらくご無沙汰しておりました。Myuu♪編集長の大浜です。
今回はMyuu♪の人気コンテンツ「音楽×ビジネス」テーマをお送りしようと思います。
当ジャンルの記事で言うと、UCLA卒の女性ミュージシャン兼起業家にみるマーケット感覚の重要性と人生の意味以来となります。
今回もエッジの効いたキャリアをお持ちのアーティスト、「オトナのおもちゃ箱。」のYO_SHIさんと対談し、ミュージシャンとしてどうこれからの音楽をつくっていくか、じっくり話を伺ってきました。
今後アーティストとして一発当てたいという全ての人に読んでもらいたい、知的かつエキサイティングな内容となっているので、早速読み進めていきましょう。
紅白や武道館出演も!歌う外資コンサルの素性を知る
大浜編集長
「YO_SHIさん。今日は宜しくお願いします。」
YO_SHI
「宜しくお願いします。」
大浜編集長
「YO_SHIさんは元々ご両親が音楽関係の方々だそうで、幼少の時から音楽に触れる環境が揃っていたんですね。」
YO_SHI
「そうですね。小さい頃からよくピアノで作曲していましたし、高校時代にはオーディションも受けていました。元々育ちは関西なのですが、大学から慶應SFCで東京に出てくることになりました。」
大浜編集長
「その後は某大手外資系コンサルティング会社で働きながらアーティスト活動も、といった具合なのですが、なかなか珍しい組み合わせですよね。現役外資コンサルのミュージシャンとは。」
YO_SHI
「そうかもしれませんね。」
大浜編集長
「現在の音楽活動はどの様に行っているのですか?音楽的な特徴なども併せて教えてください。」
YO_SHI
「『オトナのおもちゃ箱。』は渋谷から、文明やテクノロジーが発達した現代の世の中について歌う、音楽・クリエイティブユニットです。アートディレクター・MV監督・サウンドディレクターらと共同で創作を行っており、様々なクリエイターとのコラボレーションで生まれる新しい世界観のアートワークを提案しています。」
大浜編集長
「MV(ページ最下部に掲載)拝見しましたが、タイトルに『Google』が入っていたり、歌詞に現代の主要SNSサービスが登場していて一風変わった印象を受けました。後ほどこの辺詳しくお伺いしますが、音楽的に影響を受けた方はいらっしゃいますか?」
YO_SHI
「一番はつんく♂さんですね。」
大浜編集長
「なるほど、それはシャ乱Qとして? or モー娘。のプロデューサーとして?」
YO_SHI
「両方ですね。特に、ASAYANで新しい企画をどんどん仕掛ける側の彼を見て面白いなと思いました。」
ASAYANとは
テレビ東京で1995年10月1日から2002年3月24日まで毎週日曜日21:00 – 21:54(JST)に放送されていたバラエティ番組である。部類はリアリティ番組になる。「夢のオーディションバラエティー」として、小室哲哉やつんく♂などのプロデュースで、鈴木亜美やモーニング娘。、CHEMISTRYなど数多くのアーティストやタレントを輩出した。引用:Wikipedia
YO_SHI
「あとは宇多田ヒカルさんや、一青窈さん。特に、一青窈さんが『もらい泣き』という歌を床に座って裸足で歌っている姿を初めて見たときは衝撃が走ったことをよく覚えています。」
大浜編集長
「POPS系アーティストがお好きなんですね。」
YO_SHI
「そうですね。実は一青窈さんは慶應のアカペラサークルの先輩なんです。」
大浜編集長
「そうだったんですか?!それは初耳です。有名なサークルなんですか?」
YO_SHI
「ええ、約150人規模のサークルでして、在学中には一青窈さんの武道館LIVEでコーラス参加や、フジテレビ系音楽番組でのバックコーラスとしても出演させて頂きました。」
大浜編集長
「それは凄いですね。他のアーティストさんのコーラスもしたんですか?」
YO_SHI
「有名なところだと、紅白歌合戦でゆずや松任谷由実さんのバックで歌わせて頂いたことがあります。」
大浜編集長
「かなりのビッグネームと共演されていますね、、!僕も将来紅白に出るつもりなのですが、あのステージの雰囲気はどんな感じでしょうか?」
YO_SHI
「ステージで言うと、カメラが映っていないところの動きの激しさが凄いですね。曲間のセットの組み替えはムダが一切なく、スタッフさんの動きの素晴らしさには本当に感動しました。生放送なこともあり、当日はスケジュールが秒単位で決まっていますから。また、当たり前ですが、会場の廊下も色んなアーティストさんでごった返しています。ちなみに、名前は出せないですが、某有名アーティストさんが差し入れを下さったりということもありました。」
大浜編集長
「おおお、、、!!羨ましい。。かなり現場の雰囲気が伝わってきますね。」
YO_SHI
「ちなみに、武道館はステージ上から見ると、客席が360度全方位にあって、まるで玉ねぎの中にいるみたいでした(笑)」
大浜編集長
「え(笑)」
慶應で培ったOBネットワークと「音楽と脳」への知見
大浜編集長
「一青窈さん然り、慶應はミュージシャンの方々がちょくちょくいますよね。」
YO_SHI
「ですね。KREVAさんとか、RAD WIMPSの野田洋二郎さん、シンガーソングライターのmiwaさんなんかもそうですね。あとは大御所で言うと加山 雄三さんも先輩にあたります。」
大浜編集長
「若大将もKOだったんですか!僕は立教出身ですが、佐野元春さんとか、YMOの細野晴臣さんなどがOBにいますね。慶應は三田会のOBネットワークが強いので、そうした繋がりもあるんですか?」
YO_SHI
「三田会のネットワークなのかは分からないですが、上下の繋がりは強い大学だと思います。ゴスペラーズの北山陽一さんも慶應出身なのですが、慶應で講義もされており、その授業でアシスタントをさせて頂いていたこともあります。」
大浜編集長
「またまたビッグネームですね。」
YO_SHI
「北山さんは東日本大震災の後、被災地によく足を運ばれており、AWS(Always With Smile)という社団法人を立ち上げて、今でも東北の方々と関係を持ち続けているのですが、講義アシスタントとして繋がりがあったこともあり、僕もそのプロジェクトで一緒に活動させて頂いておりました。」
大浜編集長
「まさに三田会を象徴する様な現役とOBの連携ですね。SFCでは音楽と脳に関する研究をされていたとのことですが、こちらはどういった内容でしょうか?」
YO_SHI
「簡潔に言いますと、『人に音楽を聴かせた際の脳活動を測る』といったものです。」
大浜編集長
「面白そうな内容ですね。。(笑)とても興味があります。何か具体的な事例などありますか?」
YO_SHI
「まず分かりやすいのが、好きな音楽を聴いている時の脳は3大欲求を満たしている時と似たような反応を示します。あとは、人間の脳が、ハーモニーを文法的に解釈しているのではないかといった脳活動の計測結果もあります。」
大浜編集長
「3大欲求と同じ。いやでもそれは分かります。僕はよく寝るとき音楽を聴くんですが、気付いたら1~2時間スグ経っていますよ。バンドの作曲をしている時なんて、日中働いた後でも夜から明け方まで寝食忘れて没頭したりします。」
YO_SHI
「ありますよね。」
大浜編集長
「ちなみにその研究は、今のアーティスト活動に何か活かされていますか?」
YO_SHI
「勿論です。脳は規律から逸脱することが好きということが脳科学の実験結果としても出ているので、例えば楽曲の調を変えてみたり、歌詞なら突飛なワードを配置したり、メロディの場合はAメロBメロは一定のラインで流し、サビで一気に音程差をつけるなど、色々と工夫しています。」
大浜編集長
「なるほど、以前TVで小室 哲哉さんも『敢えて調を外してインパクト(驚き)を与えている』と言っていましたが、正にこのことですよね。よくあるラスサビが半音上がるパターンとか好きです。」
YO_SHI
「ありますね(笑)音楽理論も中高時代に勉強して習得しましたが、いわゆる体系化された音楽理論というのはクラシックの古典派が主流だった16世紀のヨーロッパに構築されたものなんですよ。今のポピュラーミュージックは進化しすぎちゃってその時代に体系化された理論では追いついていない状態なんですよね。特に1960年代からBeatlsが出てきて、彼らはそれまでの理論からは想像がつかない独特なコード進行を使い始めた。理論を逸脱して、自分たちが気持ちいいと感じる音を鳴らすから、斬新だしとてもキャッチーに感じるんでよね。」
大浜編集長
「その辺りさすが慶應っぽいですね(笑)」
外資コンサルという『外』から見る音楽の世界
大浜編集長
「さて、その後就職活動となるわけですが、当初音楽業界への就職などは考えなかったのですか?」
YO_SHI
「一度は考えましたが、親の影響もあって小さい頃から音楽業界を見てきた結果、色んな物事をビジネス視点で見る能力を身に付けたいと思い、別の道を選びました。」
大浜編集長
「それはどういうことでしょう?」
YO_SHI
「モノが溢れ、変化の激しくなった今の世の中では、音楽に限らず、面白いことを世に発信し活躍していくためにはビジネス的な視点を身に付けることが必要だと感じました。そこで、経営的な視点を学べるコンサルという仕事に就きました。」
大浜編集長
「なるほど、実は僕もIT(WEB)の世界から音楽業界に挑もうと思っていまして、今のYO_SHIさんの意見には大変共感します。これは音楽業界に限らずですが、いわゆるエンタメの世界で若くして芸一本で入ってる人たちって、自分でビジネスを経験したことがないので正に100%『アーティスト』なんですよね。悪く言っちゃうと世間知らず。彼らはその芸のみを磨けば良い訳で、後のこと(=お金に関するやりとり)は全て事務所側が担います。これはメリットと言えばメリットですが、自分のマネジメントやビジネスの根幹を他人に預けちゃうのはリスクでもありますよね。」
YO_SHI
「実際、ハリウッドでは、自分でスタッフを集め、マネジメントまでやるアーティストの方は多いみたいですね。また僕の場合、外資という性質上、成果さえ出していれば比較的自由がきく会社ですので、例えば今でもコーラスのサポートをやっているんですが、平日に収録があったとしても業務を調整して活動を続けています。」
大浜編集長
「それ良いですね。僕も自営なので似たような感じです。ちなみに大学時の研究同様、コンサルをやっていて音楽に活きたスキルなどはありますか?」
YO_SHI
「そうですね。キーワードで言うと「論点」や「価値」に対する姿勢といったことが挙げられます。音や詞に対する客観的な視点であったり、『今自分が取っているアクションはどんな価値を生み出せるのか』といった様なことを冷静に俯瞰できるのが最大のメリットですね。」
音楽が売れない時代。歌える外資コンサルが描く戦略とは?その脳内を覗く
大浜編集長
「最後にYO_SHIさんの音楽(展開)について話を伺っていきましょう。コンセプトは冒頭の通りですが、ターゲット層はどの辺りになりますか?」
YO_SHI
「『オトナのおもちゃ箱。』としてのターゲットは『音楽に興味がない人』が中心ですね。今ってスマホの普及によって昔に比べて圧倒的にエンタメ過剰になってるんですね。90年代にあれだけ音楽が売れたのって、人々が常に携帯するものがスマホではなくMDプレーヤーの時代だったからで、一番身近なところに音楽があったからこそ、みんながこぞってカラオケに行ったし、そこで歌うために音楽を仕入れるから、もっと音楽が売れるしっていう循環が生まれていたんだと思います。でも今はスマホからあらゆるエンタメコンテンツを楽しめる様になってるので、相対的に音楽の価値が下がってしまったんですよね。なので、今後は如何にして音楽以外のメディアをミックスして音楽ファン以外も獲得していくかが重要ではないかと思っています。」
大浜編集長
「へえ!ウチのメディアの趣旨と似ていますね(笑)Myuu♪も「音楽×◯◯」を軸に、音楽にそこまで関心のない人でも楽しめる様なコンテンツ提供をウリにしています。YO_SHIさんの場合活動の展開方法、戦略などはいかがでしょう?」
YO_SHI
「基本的に『音楽』にこだわりすぎない様にしています。世界観を重視していて、イメージで言うとディズニーが近いですね。音、映像、ファッションなどあらゆるメディアを通した総合的なアプローチをしたいと思っています。文学やアートとのコラボも良いですね。オトナのおもちゃ箱。はラボ的な感覚なので、色々と実験する場にしていきたい。世界観を重視するという意味ではゴールはディズニーランドの様な街をつくること。ウォルトディズニーが目標ですね。」
大浜編集長
「それは面白いですね。YO_SHIさんの世界観が伝わってきました。ひょっとしてSEKAI NO OWARIとか好きじゃないですか?」
YO_SHI
「好きですね(笑)」
大浜編集長
「やはり(笑)ちなみにコラボはどなたか決まっているんですか?」
YO_SHI
「企画段階なので具体的に名前は出せないですが、今後は自分(ミュージシャン)と離れた位置にいる人と組んでいきたいですね。歌を絵本にして出してみたりもしたいな。」
大浜編集長
「なるほど。おっしゃる通りでこれからの時代単に音楽をつくるだけではやっていけないですよね。音をどういうビジュアルに乗せて、どんなメディアから誰にアプローチするのか。ビジネス面も踏まえて全方位から考え抜いた策を打っていく必要があります。そう考えると尚更アーティスト自らが主体的に情報収集してマーケティングやPRも行っていかなければいけませんね。」
YO_SHI
「確かにそうかもしれませんね。僕は、音楽が売れない時代になったとはいうものの、単にCDというメディアで聞く音楽の価値が下がっただけであってLIVEに対する音楽の価値は不変だと思っています。実際CD売上は落ちてもLIVEの方は伸びていますからね。ただ、僕の場合はLIVEを数多くこなしていこうとは思っていなくて、当面はそのリソースを良い作品作りに集中させたいなと思っています。」
大浜編集長
「ではコラボメンバーも絶賛募集中ってやつですかね?」
YO_SHI
「ですね!一緒に変わったもの、面白いものをつくってYoutubeなどで発信していきたいです。これはハーバード大学で音楽の博士号を取得された僕の大学時代の恩師の方の言葉なのですが、『君のやっていることはこの世界の長い歴史の中でどのような価値があるのか』という言葉がいつも胸の奥にあって、常にこのメッセージを自問自答しながら活動しています。」
大浜編集長
「最後また慶應ぽい(笑)」
Artist Infomation
HP:https://otonacreativebox.amebaownd.com/
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